子ども「一人ひとり」と向きあいたくて。

社会福祉法人友興会 児童養護施設クリスマス・フォレスト 児童指導員

佐賀 祐洋

教育現場に関わったからこそ選んだ、児童養護施設の仕事

キャリア

佐賀 祐洋

共栄大学教育学部教育学科を卒業 ↓ 新卒で児童養護施設クリスマス・ヴィレッジ入職 ↓ 人事異動により、新卒3年目で現在の施設に配属

1
一人ひとりの成長と向き合う。教育現場での経験が気付かせてくれた、本当の思い

私は兄弟に勉強を教えたり、一緒に遊んだりするなど、昔から子どもと関わることが好きでした。「子どもの成長に携わりたい」という思いから、もともとは小学校の教員を目指していたんです。
 
大学4年間、小学校の授業の補助に入るボランティアや教育実習などを経験。さまざまな現場に足を運び、先生方の働き方を見る中で気付いたのは、学校教員は子どもと関わる時間以外の業務が多いということ。「子どもの成長に携わりたい」という思いを叶えるには、小学校以外の選択肢を検討した方がいいと感じ、就職先について考え直すことにしました。
 
子どもとの関わり方を調べる中で出会ったのが、子どもの生活支援を中心とした児童養護施設。入職前の採用実習において、小学校では一クラス30人ほどいる子どもの担任になるのに対し、児童養護施設の職員は子ども一人ひとりと向き合い、しっかりと関係性を築いている姿がとても印象的でした。子どもと関わる現場でも、これほどまでにアプローチの仕方が違うものなのだと気付いたんです。この経験から私の思いに近いのは、教育現場ではなく子どもの支援を中心とする児童養護施設だと感じました。
 

2
納得した上で決めた、児童養護施設への就職

小学校の教員から児童養護施設の職員になると決めたのは、大学4年生の夏。教員の採用試験は春から始まっていて、私もすでに試験を受け始めている状態でした。ですが「本当にこのまま教員として就職していいのか」「教員という立場から子どもと関わり続けることが正解なのか」と自問自答しながら悩む日々。そこで出た答えは、納得がいかないまま小学校の教員になっても、きっと長くは続かないだろうということでした。「方向転換するなら学生のうちの今しかない」と思って、就職先を小学校から児童養護施設へと変更しました。
 
私の周りには児童養護施設に対して馴染みのない人が多かったことや、だれにも相談せずに就職先を決めてしまったこともあり、両親にどんな施設で、どんな人と関わるのか、どんな仕事内容なのか一つずつ丁寧に説明しました。
 
児童養護施設の職員は学校教員よりも、子どもの成長を間近で見ながら長期的に携われるということやもっと子どもに寄り添っていきたいという私の思いを体現できる仕事だということも伝えました。すると「自分が納得した上で児童養護施設を選んだのであれば、反対はしないよ。やりたいことをやったらいいと思う」と応援してくれました。そういう周りの理解があったことはとてもうれしく、最後はすっきりとした気持ちで就職することができました。
 

3
日々近くで関わるからこそ気付く、小さな変化

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児童養護施設は、さまざまな理由で保護者がいない子どもや保護者と一緒に暮らせない子どもたちなどが利用しています。普段は、子どもの日常的な生活支援やご家族・児童相談所との面会対応、学校を含めた関係各所との情報共有などを主な業務として行っています。
 
つい先日、私はあまり体調が良くなく、働くのがしんどいと感じていました。子どもたちには元気がないことを気付かれないように気を付けていたのですが、いつもの私と様子が違うと思った小学生の女の子が「佐賀さん大丈夫?」と気遣ってくれました。「大丈夫だから心配しないでね」と答えましたが、夕食後そそくさとキッチンへと向かい、普段私が「こんなふうに洗うとお皿が綺麗になるよ」と教えていることを、その子なりに理解して一生懸命行っていました。小さなことですが、その子の変化が見られたことが素直にうれしかったです。
 
人間相手の仕事なので、目に見える実績や自分との関わりの中で劇的に子どもが成長することは正直なところありません。ですが、その女の子のように、小さな成長や変化を間近で見られたときに「この子のためにもっと一生懸命頑張りたい」という思いが強くなります。子どもの日常生活を支援しているからこその魅力であり、この仕事のやりがいだと思います。
 

4
子どもとともに、自分自身も成長していきたい

子どもと関わる中で常に思っているのは、自分自身も成長していきたいということ。生活する上でのルールはもちろんありますが、固定観念に縛られないことで、子ども目線で物事を見られたり、子どもの変化に気付けたりして、「次はこんなふうに関わっていったらいいんじゃないか」と新たな目標も生まれます。
 
子どもにとって本来は両親が一番近い大人であり、成長する上でのモデルになりますが、さまざまな事情で両親と離れた環境にいます。私を含め職員が両親と同じ存在になれるかといったらそれは正直難しいですが、両親に近いモデルにはなれると思っています。
 
子どもは成長しながら考え方も変化して、私たちの関わり方も複雑になります。そのためにも、子どもの成長に合わせて、適切な支援方法を常日頃考えながら業務に励んでいるところです。
 
当法人に入職して4年目。これまでこの目で見てきた多くの事例やケースをもとに、子どもとの関わり方を考えながら、外部の研修を受けたり、他の施設の見学をしたりして、そこで学んだことを取り入れていきたいですね。
 

介護は命を救える仕事だから。

介護福祉士・モデル

上条 百里奈

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