ドキュメント2 雨宮さん(高齢部門)第4回 働く職場づくり編「働きやすい職場は『みんな』でつくる」

「ドキュメント ワタシのシゴト×TOKYOでフクシ」へようこそ。

今回紹介するドキュメントでは、東京都足立区の特別養護老人ホームで施設長を務める雨宮さんにクローズアップ。
第4回 働く職場づくり編では、「TOKYO働きやすい福祉の職場宣言」の活用方法など、職場づくりの取組について、雨宮さんの生の声をご紹介します。

緑の宣言マークを持つ雨宮さんの写真

社会福祉法人聖風会

特別養護老人ホーム花畑あすか苑

施設長 雨宮さん

「宣言」はスタート地点

地域からも愛される施設になっていくために、これからもっと「聖風会の介護」という法人のブランド力を高めていきたい。そう考えていた時に「TOKYO働きやすい福祉の職場宣言事業」と出会いました。

当初は法人内の1つの事業所から宣言に取り組み始めようとしていたのですが、宣言の中身を知れば知るほど、法人のブランディングにもつながるという確信が持て、全事業所で宣言に取り組むことになりました。
そして、2023年秋にすべての事業所で宣言を取得しました。

今回取り組んでみて、この「宣言」は、5カテゴリ17項目のチェックシートに沿って職場環境を点検し結果を公表するのですが、働きやすいことを周囲にアピールする以上の価値があると感じています。

その価値というのは、この宣言は「もっと働きやすい環境を、職員とともにこれからつくっていく」ための宣言でもあるということです。
現状の環境で働きやすいと感じる方もいれば、職場に対してもっと意見がある方もいるかもしれません。そういった多様な職員の声も踏まえて、これからもっと働きやすい職場をつくっていくための出発点でもあるのです。

そのため聖風会では、この宣言をきっかけに「働きやすい職場を共につくっていく」ことを忘れないよう、職員一人ひとりの社員証に「宣言マーク」のシールを貼りました。
社員証は、日常業務で常に身につけているため、ご利用者やご家族の目にも留まります。こうした取組をしていることが周囲にも伝わり、質の高い支援を得られる施設だとご家族にも安心してもらえると良いなと思います。
この宣言を「スタート地点」として、質の高い支援のため、これから職員全員でどんどん働く環境を整えていこうと思っています。

雨宮さんの職員証の写真

目指すのは、ピンチの時に頼れる管理職

福利厚生など制度や仕組みを整えるだけでは、働きやすい職場になったとは言えません。
困った時、使いたいと思った時に制度を活用することができて初めて、働きやすい環境であると言えるでしょう。
そのため職員たちの「困った」を察知できるように管理職みんなで心がけています。そのために実施しているのが、職員への「声かけ」です。

職員の通用口やフロアに行って、一人ひとりに声をかけるようにしています。
趣味や自宅で飼っているペットの話から会話がはじまり、ご家庭の子育てや介護の状況、働き方の中での悩みにも発展していくことがあります。お休みされている職員がいたら、それを覚えておいて、出勤して来たときに少し話をしてみます。
話しかけるということは、「あなたを気にかけているよ」ということを行動で示すことでもあります。「自分を見てくれている」と思えることで、困った時、小さなことでも相談してみようかなと思ってもらえると良いなと思っています。そうやって、職員一人ひとりと顔の見える関係をつくることを心がけています。

困っている職員がいることがわかったときは、実際に制度を利用した職員の例を挙げて、「〇〇さんは前に利用してたから、聞いてみたらどうかな?」とそっと促してみることもあります。そうやって、日々声かけや日常のコミュニケーションの延長の中で、その人が活用できそうな制度を紹介し、制度を使ってみようかなと考えるきっかけづくりをしています。

内容によっては、管理職には直接話しにくいと思うこともあると思います。ですが、職員同士で不満を言い合っているだけでは解決に向かうことはできません。職場の仕組みづくりに直接働きかけることのできる管理職に話をしてもらうことこそ、職場の環境改善の一歩となると思うのです。そのためにも、話をしてもらえるような関係性を大事にしています。

打ち合わせをする雨宮さんの写真

「もっと良い方法」を模索し続ける

現場時代からそうですが、私が大事にしているモットーは「もっと良い方法はないか?」です。

長く働いているとつい「今までがそうだから」という理由で、やり方を変えずに続けていることは多くあります。
当時はベストと考えて決めたルールでも、その時と今では状況は変わっています。なので、これまでの思考にとらわれず変化を求めていくことが、より働きやすい職場環境整備のための重要なポイントだと考えています。

掃除用具一つとっても、みんなが効率的に動けるように「もっと良い置き方はないか」と考えるなど、小さな変化や違和感に気付き、改善策を考えてみる思考こそ、より良い成果を生むことに繋がります。探求心を忘れずに違った方法やアプローチを模索し、常に進化し続ける組織として取り組んでいきたいと思います。

日本の介護の仕事には、世界に誇れる質の高さと価値があります。
それを、自分たちがまず認識し、自信と誇りを持って真摯に向き合う職員たちを支えていきたいと思っています。そのためにも職場環境づくりをしていくこと、自分たちの働く環境を自分たちで変えていくという意識がとても重要です。
それこそが、世界に誇る日本の介護ブランドをもっと輝かせることにもつながると考えています。

座っている雨宮さんの写真

今回のドキュメントはいかがでしたか?

次回、第5回・第6回は、東京都杉並区の保育園で働く、保育士の安西さんのドキュメント。
仕事に誇りを持ち、いきいきと働く安西さんの、福祉の仕事にかける熱い想いをご紹介します。
お楽しみに!

今回紹介した法人・事業所

社会福祉法人聖風会
特別養護老人ホーム花畑あすか苑

「聖風会」についてもっと知りたい方はこちら

法人WEBサイト
https://www.seifuukai.or.jp/(外部リンク)

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ふくむすび(東京都福祉人材情報バンクシステム)
社会福祉法人聖風会 花畑あすか苑