子供たちの目線に立って寄り添う姿勢を大切に


石田 梓さん
児童福祉司
東京都足立児童相談所相談援助課
どんなことがあっても子供たちを受け止め見守り続けている施設の職員を見て、心に残るものがあった石田さん。そして中学高校の間もボランティアに参加していたことで、自然と福祉に向かう気持ちが芽生えていきました。児童相談所での勤務7年目となる現在は、子供や保護者をどう支援できるのか、そのアプローチ方法を日々模索しています。
(取材:2023年11月)
現在の仕事を知ったきっかけや、目指した理由を教えてください。
児童養護施設で働く夢を持って大学に進学したのですが、児童相談所の実習担当の児童福祉司さんから影響を受けて、自分も児童福祉司として児童相談所で働きたいと思うようになりました。驚くほどたくさんの相談を受けていたのですが、どの子に対しても同じ目線に立てるように努力して向き合っている姿に感銘を受けました。
資格はどのように勉強して取りましたか?
社会福祉士は大学の講義を受けて受験に必要な単位を取得しました。受験勉強は図書館に行って問題集を解いて勉強していました。精神保健福祉士は短期養成校の通信教育を受け、単位を取得し通勤時間に教科書を読みこんで勉強しました。
利用者の方に満足してもらうために取り組んでいることを教えてください。
児童相談所の立場上、保護者や子供たちの側からの相談ニーズがなくてもそのご家庭に働きかけ、関わる場合があるのですが、少しでも役に立てるように丁寧に1人ひとりの話を聞き、その都度必要な対応をするように心がけています。保護者や子供たちが気付いていないけれどできていることや、直したほうがうまくいくことに関しては分かりやすく伝えて関係がうまくいくきっかけを作れるように意識して関わっています。
現在の仕事の中で、一番大切にしていること、力を入れていることは何ですか?

子供たちの目線に立って寄り添うことです。子供たちの話を「ちゃんと」聞くことで、言葉や笑顔の裏にある本心、気持ち、苦しんでいる状況を的確にキャッチするように心がけています。
現在の仕事を日々行う中で、難しさを感じるのはどんなことですか?
相談ニーズがないけれど児童相談所が関わることになったときに、保護者や子供たちの不安な気持ちを取り除くことや、児童相談所との信頼関係がない時に調査に協力してもらうことです。また、2年目の時に保護者の方から一方的に怒鳴られ続けたことがあって、その時は辛かったです。
その時はどのように乗り越えましたか?
その時は「自分に経験が少ないせいだ」、など自分ではどうしようもないことで苦しい思いもしましたが、同期や先輩方と苦しさを共有したり、休日はあえて忙しくしてリフレッシュして過ごしました。その後1年くらい経って、あの時の経験は無駄ではなかったと、自分が児童福祉司としてあるためにどうしていったらいいのかと冷静に考えることができるようになったと気付きました。
今までで、心に残っている出来事はありますか?
異動や担当変更の際に子供たちが別れを惜しんで手紙をくれたことや、保護者の方から涙を流して「出会えてよかった」、とお礼を言ってもらえたことです。
どんな人がこの仕事に向いていると思いますか?

子供や人と関わることが好きで前向きな人が向いていると思います。一つのことを集中的に取り組むよりも同時進行で様々なことを考えてまんべんなく対応していくことが必要になることが多いので、そういった処理ができる人は特に向いていると思います。
今後の目標や夢、キャリアプランを教えてください。
児童相談所以外の福祉の職場での経験を積んでから、また児童相談所の児童福祉司として勤務したいと考えています。子供とその家族を支援するには、他職種とのスムーズな連携が必要になるので、もっと多くのことを理解して児童相談所の仕事に活かしていきたいと考えています。
これから、この分野のお仕事を目指す人へメッセージを。
福祉の仕事は大変という印象があるかもしれませんが、児童相談所の仕事は大変さ以上に心動かされることが多くある職場です。教科書上の説明よりも職員から話を聞く等、実際に知ることで児童相談所の印象が変わるかと思います。ほかの福祉の現場でも同様かと思いますが、是非実際の現場の様子を知って、進路選択していただきたいと思います。
