【一般事務】加藤 舞子さん

「福祉は誰でも主役になれる仕事」と知って欲しい

パソコン越しに受け答えをする加藤さんの写真
車いすの加藤 舞子さんの正面写真

加藤 舞子さん

一般事務

東京都福祉局

家族が市の職員であったことや、自身も福祉サービスを受けていたこともあって、公務員の仕事を身近に感じていたという加藤さんは、幼少期から人の役に立つ仕事をしたいという気持ちを強く持っていました。現在は東京都福祉局にて、介護人材確保を目的とする貸付事業に関する補助金関係業務や、現場とのパイプ役として活躍しています。加藤さんの、人の話に丁寧に耳を傾ける姿勢は、上司や同僚のお墨付きです。

(取材:2024年1月)

現在の仕事を知ったきっかけや、目指した理由を教えてください。

もともと「人の役に立つ仕事に就きたい」という思いが強かったので、福祉系の大学に進学して、4年次には国家資格である社会福祉士の資格を取得しました。学生時代の実習で療育センターに伺いましたが、不安な様子の親子にとても丁寧に接している職員の姿に感銘を受けたことを覚えています。卒業後の夢として、対象者を限定せず幅広い分野の業務を経験できる印象があった行政事務職を志望しました。

現在の職場や、業務内容について教えてください。

インタビューを受ける加藤さんの写真

東京都の福祉局生活福祉部地域福祉課福祉人材対策担当で、おもに東京都福祉人材センターが実施主体である介護人材確保を目的とする貸付事業に関する補助金業務など、東京都福祉人材センターの事業運営を縁の下で支えています。また、都道府県職員として、政策立案を行っている国と事業実施主体である東京都社会福祉協議会のパイプ役を担っています。

都民の方に満足してもらうために取り組んでいることを教えてください。

お電話などでお問い合わせをいただいた時には、まずは相手の方の「思い」を受け止めて寄り添うことを意識しています。そのスキルを高めるため、定期的に「傾聴」のワークショップに参加するなどしています。
そして、福祉は「人と人との関わり」がとても大切です。自分が担当する事業の広報を通して、福祉には色々な対象者がいるということや、誰でも人の役立てる、「福祉は誰でも主役になれる仕事である」ということを広く知ってもらいたいという意識を常に持って仕事に向き合うようにしています。

現在の仕事の中で、どんな時にやりがいを感じますか?

パソコン作業をする加藤さんの写真

都民の方に感謝の言葉をいただくことはもちろん、国と東京都社会福祉協議会のパイプ役を務める中で、間接的ではありますが、円滑な事業運営や都内の介護人材確保に微力ながら貢献できるところにやりがいを感じています。

日々の仕事の中で、難しさを感じることはありますか?

事業実施のための予算要求の際、事業を行う「現場」である東京都福祉人材センターの実態や課題をくみ取りながら、庁内の予算担当者と調整を重ねることです。行政の予算担当者は多くの場合福祉の現場経験がないため、実務を担っている現場とのパイプ役として、実態を伝え、理解してもらうことに難しさを感じています。

現在の(又はこれまでの)職場で、辛かったことはありますか?そんな時に乗り越えた方法も教えてください。

パソコン横で話をする加藤さんの写真

都民の方からの問い合わせや御意見を多数いただく部署に在籍していた際、毎週のようにお電話でご自身のつらさを訴えてこられる方がおられました。「行政は何もしてくれない、助けてくれない。」という訴えに対し、私はただお話を聞き、思いを受け止めることしかできず、無力感にさいなまれたこともありました。
しかし、上司や同僚の「その方は、加藤さんに話を聞いてもらえたことで救われていると思うよ。」という励ましの言葉で、少しずつ、自分のやっていることに自信を持てるようになりました。いつも支えてくださる職場の方々には、感謝の気持ちでいっぱいです。また、休みの日には映画鑑賞や好きなアーティストのライブに参加して、リフレッシュするようにしています。

どんな人がこの仕事に向いていると思いますか?

関係各所と中長期的に調整を行う案件も多いため、粘り強く物事に取り組める人、また、制度改正等に対応しながら業務を進めていく必要があるため、新しい知識を吸収することが好きな(苦にならない)人も向いていると思います。

今後の目標や夢、キャリアプランを教えてください。

電話で話をする加藤さんの写真

業務を通して、都民の暮らしや人生がより豊かになるようお手伝いできればと思っています。今後は、高齢者福祉や障害児・者福祉に関する業務も経験したいと考えています。

これから、この分野のお仕事を目指す人へメッセージを。

行政の仕事は、見えないところで現場を支えるやりがいのある仕事です。ぜひ、一緒に働きましょう。お待ちしています。

笑顔の加藤さんの写真

ミニコラム「福祉行政における都道府県と区市町村の役割について」

1.都道府県と区市町村について

東京都には、地方自治法上の特別地方公共団体である「特別区」と普通地方公共団体である「市町村」があります。

地方自治法では、都道府県も市町村も同じ普通地方公共団体として規定されており、それぞれ完全に独立した地方公共団体として位置付けられています。都道府県が市町村を包括するという二層構造をとっていますが、上下の関係にあるものではありません。また、東京都では、特別区(いわゆる東京23区)が、一部の例外を除き、一般の市の事務を行っています。

2.福祉行政における都道府県と区市町村の役割

福祉に関するサービスは私たちの生活の様々な場面で提供されており、サービスの根拠となる法律等に基づいて都道府県・区市町村の福祉行政が担う役割・業務も多岐にわたっています。ごく簡単に整理すると、区市町村では、介護保険や障害福祉の「サービスの支給決定」など、より住民の方に身近なサービスに関する業務を担っています。それに対し、都道府県では、専門的な判定が必要な業務やより広域的に対応する業務を担っています。
介護保険制度を例にご説明します。

都道府県の役割

  1. 要介護、要支援認定の支援に関する業務(要介護・要支援の認定を受ける方の相談窓口設置
  2. 事業者・施設に関する業務(施設の指定事務など)
  3. 介護サービス情報の公表に関する業務(サービス利用に当たり参考となる情報の公表)
  4. 介護支援専門員(ケアマネジャー)の登録や証明書交付、各種研修の実施など
  5. 介護サービス基盤の整備に関する業務(介護保険事業支援計画の策定、区市町村への助言など)

区市町村の役割

  1. 被保険者の資格管理に関する業務(住民が介護保険の加入条件を満たすかの判断、介護保険料の納付状況等管理など)
  2. 要介護認定、要支援認定に関する業務
  3. 保険給付に関する業務。サービスの給付決定など)
  4. サービス事業者に関する業務(サービス事業者の指定、監督や報告命令、実地指導など)
  5. 地域支援事業(配食事業、サロン事業など)の実施
  6. 地域包括支援センターの設置・運営
  7. 3年ごとに市町村介護保険事業計画を策定すること。

このように、都道府県や区市町村では、様々な立場から福祉の業務に関わり、住民の皆さんの生活を支える仕事をしています。

参考:東京都ホームページ
https://www.metro.tokyo.lg.jp/

(東京都職員採用ホームページ)
https://www.saiyou2.metro.tokyo.lg.jp/pc/(外部リンク)