市民の声に耳を傾け、生活に寄り添った支援を


渡邉 成さん
武蔵野市職員(生活福祉課)
武蔵野市役所(3年目)
まちづくり推進課を経て、生活福祉課に配属されて1年という武蔵野市職員の渡邉さんは、武蔵野市の過ごしやすい町並みや雰囲気に魅かれて現職を志しました。現在は、生活保護を必要としている方々にどのような援助ができるか検討し、支援するなどの業務を行っています。市の職員は配属先によって仕事の内容が大きく異なるため、毎日の業務を通して地域社会の発展や人々の生活に寄り添うことができることに大きな責任とやりがいを感じています。
(取材:2024年10月)
現在の仕事、業務の内容を具体的に教えてください。
様々な理由から生活保護を必要としている被保護世帯を定期的に訪問し、安定した生活を送るためにどのような援助ができるか検討し、実際に支援しています。直接訪問や電話でのやり取りの他、介護サービスの導入調整、アパート契約のやり取り、転居の支援、施設入所に向けた調整、病院関係者・葬儀業者などの関係機関との連絡、毎月の保護費の計算もするなど、業務は多岐にわたります。
現在の仕事の中で、一番大切にしていること、力を入れていることは何ですか?

被保護者の方がどのような生活をしたいのかを丁寧に慎重に聞き取る姿勢を大切にしています。その方の状況をきちんと把握しながら、できるだけ本人の意向を尊重して支援を進めることができればといつも考えています。
現在の仕事の中で、感じるやりがいは?

相談を受けて信頼関係を築くことに苦労することもありますが、被保護者の方が安定して生活できる状況を整えられた時には、自身の仕事の意味や価値を感じることができます。年齢に応じて利用できるサービス・制度も変わってくるので、関係者と連絡を取りながらタイミングよく導入します。被保護者の方がそれを利用しながら落ち着いて暮らしているのを確認できた時にはやりがいを感じます。
現在の仕事を日々行う中で、難しさを感じるのはどんなことですか?
生活保護には、「生活保護法以外の法律や施策によって援助を受けることができる場合にはそちらを優先する」、という原則があります。関係する法律等を広く知らなければいけないため、支援に必要な知識を身に着けるには時間と経験が必要です。
また、様々な意見を長時間訴える方に対して、なかなかこちらの説明がうまく伝わらない時には難しさを感じます。金銭に関する悩みや不安を訴えられることも多いですが、どうしようもできない場合も多く、葛藤もあります。
大変な業務があった時、乗り越えた方法を教えてください。

私個人は、あまり思い詰めずに割り切って業務に向かうように心がけています。そうすることで、多岐にわたる業務をこなせると思っています。そしてとても幸いなことに、生活福祉課の仲間同士、いい関係が築けているので、休憩の時に仲間と趣味のランニングをしたりして気分を切り替えたり、リラックスすることができています。美味しい食事も、リフレッシュ方法の一つです。
今後の目標や夢、キャリアプランを教えてください。
武蔵野市の職員として、今後異動もありますので他の部署で様々な業務に携わることになります。それは常に勉強し成長できる環境にあるということですが、「人と接する」という意味では市民の方々が何を求めているのかをよく聞く姿勢を大事にしていきたいと思っています。
これから、この分野のお仕事を目指す人へメッセージを。
様々な方の人生を知り、その一部に関わる仕事だと思います。大変な分やりがいはありますし、今までに経験したことがないことをたくさん経験することができます。その方にどんな支援が必要かを考え続けられる職員であってほしいと思いますし、私もそうありたいと思っています。


武蔵野市役所生活福祉課紹介
自治体名:武蔵野市役所生活福祉課
- 庁舎住所、電話番号:武蔵野市緑町2丁目2-28 0422-51-5131
- 従業員数:900人
(取材:2024年10月 生活福祉課課長 宮本亮平さん)
武蔵野市役所生活福祉課で実施している特徴的な施策を教えてください。

【福祉総合相談窓口】
「どこに相談すればいいかわからない」という市民に対応できるよう、令和3年度から「福祉総合相談窓口」を設置しており、生活困窮者やひきこもり、いわゆる8050問題など、様々な福祉の課題に関わる相談を承り、必要な支援につなげる支援を行っています。また、この相談窓口が事務局となって様々な相談機関を集めて事例の検討を行い、必要とされているのに足りないサービスや支援を発見し、拡充を進めるなどの取組を行っています。
【ひきこもりUX女子会】
都内の複数の自治体や社会福祉協議会との広域連携で、ひきこもり状態にあったり、対人関係の難しさを感じているなど、生きづらさを抱えた女性が当事者同士で話し合い、知り合うことができる場づくりを行っています。
武蔵野市内における福祉現場の現状や課題を教えてください。
市民の福祉ニーズは多様化・複雑化しています。市職員にも高度な個別援助技術力や地域の相談支援機関をバックアップする能力の強化が求められており、福祉分野での業務を中心に担う職員の育成がとても重要になっています。
市民に満足してもらうために取り組んでいることは何ですか。

生活保護受給者への支援としては、受給を開始してからの最初の数ヶ月の取組が、その方のその後の人生に大きな影響を与える可能性が高いと考えています。そこで、できるだけ多くの人の意見で多角的に支援方針、対応を考えられるように、担当のケースワーカー、全スーパーバイザー、そして課長とで話し合う機会を月に2回設定しています。
その他、福祉総合相談窓口を運営しており、様々な問題や相談に対応しています。
これから、この分野のお仕事を目指す人へメッセージを。
どんな仕事でも、必ずそれが人の役に立つものだと思います。その中でも、生活保護のケースワーカーは、人の生活に不可欠な衣食住を保障し、より幸せな状態を目指して支援をする、「人の幸せ」が成果となる仕事です。時には感情をすり減らしてしまうこともありますが、とてもやりがいのある仕事です。人の幸せの総量を増やす仕事に携わりたい方は、是非一緒に働きましょう。