【児童福祉司】たかはしさん

児童相談所は子供の福祉を守る最前線

笑顔のたかはしさんの写真
たかはしさんの正面写真

たかはしさん

児童福祉司

東京都児童相談所(4年目)

「これからの日本を担う大切な子供達を支えたい」この想いを胸に、自治体の一時保護所や民間の児童養護施設での勤務等を経て知見を深め経験を積んできたたかはしさん。これまでの職場では子供とのかかわりが業務の中心でしたが、児童福祉の中核を担う児童相談所では、子供を取り巻く保護者や親権者との対応にも挑戦することになりました。「今だけでなく、子供が5年、10年、20年後にどんな生活を送っているかを想像しながら子供達の最善の利益を追求したいです」と常に「子供」が中心という軸を持って支援にあたっています。

(取材:2024年11月)

児童福祉司としての業務内容を教えてください。具体的にどのようなことをしていますか?

保護担当から支援担当へ

児童福祉司の業務は、子供と保護者の相談を受け付け、障害、非行、保護者と児童の不和、施設入所等の相談に関する連絡調整や指導を行うことです。関わる家庭についての調査や面接、通院同行や家庭訪問を通じて、相談者とともに問題解決を図ります。家庭内で解決できないことについては、保健センター、子供家庭支援センター、学校や保育所などお子さんが関わる機関と連携して、家族が安心安全に生活できるよう調整を図ります。家庭内での生活が難しいお子さんについては、社会的養護(注)を行う施設や養育家庭で生活が出来るように調整を行います。
(注)本来、子供を守るべき保護者が子供を守ることが難しい状態になったときに、国や自治体の責任の下で子供を保護するとともに、養育に困難を抱える家庭への支援を行うこと。

児童福祉司という仕事を知ったきっかけや、目指した理由を教えてください。

初めて児童相談所の機能や業務内容について知ったのは、大学在学中に子供家庭福祉の講義を受けた時です。もともと教師を目指しており、実習やボランティア活動を行う中で、やはり子供は日本のこれからを担う大切な存在だと実感していましたので、学校現場以外にも子供を支援する場があると知り、一般的な学校教育や団体の中では難しさを抱える子供達やその家族を支えたいという気持ちが強くなりました。
大学卒業と同時に教員免許を取得し、民間の児童養護施設で働きながら社会福祉士養成通信課程で単位を取り、資格取得に臨みました。

子供や保護者の方が安心し、満足してもらえるように取り組んでいることを教えてください。

子供の権利が擁護されるように配慮してケースワークをすすめます
相手に安心感を与えることはもちろん、子供の権利が擁護されるように配慮してケースワークを進めています。昨今、子供の権利について注目されていますが、児童相談所は子供の福祉を守る最前線の機関ですので、児童一人ひとりに丁寧な意見聴取を行い、できる限り子供の希望に沿ったケースワークを進めるよう努めています。また、保護者の方にもお子さんの子育てについての希望を聴取して、家族がどのような形で生活することが望ましいかを模索しています。

現在の仕事の中で感じるやりがいは何ですか?

お子さんが家庭や学校などでいきいきと生活している姿を確認したり、保護者の方がお子さんの成長を実感している様子を確認できた瞬間にやりがいを感じます。例えば、親子が家庭で生活しているケースでは、面接指導を重ねる中で、保護者の方がお子さんへの関わりを変え、結果的にお子さんの行動変容に繋がったことがありました。また、子供が家庭を離れて施設で生活しているケースでは、一時的に中断していた親子面会を再開できるよう調整を図った結果、一緒に生活することはできなくても、親子面会でお互いが親子の繋がりを再認識し、関係修復に繋がったことがあり、やりがいや成果を感じました。

児童福祉の現場では、様々な職種の専門家がそれぞれの専門性や知見を活かしてチームとして連携(他職種連携)していますが、具体的にどのようなことを行っているか教えてください。

児童相談所はチームで子供達とその家族を支えています

あるケースの関係者会議では、児童相談所、子供家庭支援センター、保健所、学校、保育園、訪問看護ステーション、クリニック、放課後等デイサービス、施設など、家庭に関わる全ての機関が集まり、それぞれの機関における親子との関わりの状況や役割分担を確認し、今後どのようにその家庭の支援を行っていくべきか検討しました。このように、児童相談所の児童福祉司は、随時、各機関の情報を収集するなどして各家庭の抱える課題を分析しているのですが、大きな問題が起きたり、逆に課題が解決して相談を終結する前などには、適切なタイミングで関係者会議を実施しています。

他職種連携をうまく進めるために大切にしていること、力を入れていることは何ですか?

お子さんと保護者の意向を確認しながら、ニーズは何か、支援の対象者は誰かを考えることで、それぞれの職種の強みが活かされるようコーディネートしています。所内のチームでは常に、「子供にとっての最善の利益は何か」を考えています。その上で、家庭の持っている強みを見つけて活かしていき、家庭内でカバーできないときには、地域の社会資源や専門的な援助を加えて対応するなど、状況に応じた柔軟な対応を心掛けています。

これから、この分野のお仕事を目指す人へメッセージを。

相談業務に従事していると、自分の想像を超える良い展開に出会えることがあります。一緒に、「これからの日本を担う子供たちの最善の利益」を追求してみませんか。

時には希望休暇を取り旅行を楽しむなどして英気を養います
「子供は日本の未来」と話すたかはしさん

東京都児童相談所紹介

東京都児童相談所の理念

すべての子供が心身ともに健やかに育ち、その持てる力を最大限に発揮できるように家族等を援助し、ともに考え、問題を解決していくことです。

東京都児童相談所とはどのような場所ですか?

東京都児童相談センター

原則、18歳未満の子供に関する養護相談(保護者の病気などで子供が家庭で生活できない場合や虐待が疑われる場合)、育成相談(友達と遊べない、落ち着きがない等)、障害相談(知的発達の遅れ等)、非行相談(家出、盗み等)、里親に関する相談(里親として家庭で子供を育てたい場合)等に応じています。

相談や通告に対しては、以下のような援助を行っています。

助言指導・継続的な援助

受け付けた相談・通告に対して助言指導を行うほか、必要に応じて専門職員による継続的な援助を行います。

一時保護

緊急に保護を必要とする場合、保護による行動観察を行う必要がある場合には、子供の一時保護を行います。


里親委託・施設入所

様々な事情により家庭で生活することができない子供を、一定の期間、里親家庭や児童福祉施設で養育します。

愛の手帳交付

知的障害の子供への援助を図るため、東京都では「愛の手帳」(療育手帳)を交付しています。愛の手帳の交付申請は、児童相談所で受け付けています。

その他

心理学的・医学的な治療指導事業等を行っています。

東京都児童相談所の特徴や強みを教えてください。

  • 東京都の児童相談所の歴史は長く、また、全国で最も多い相談件数に対応してきたことから、多くのノウハウを蓄積し、難しい相談事例にも対応しています。
  • 東京都では、令和6年11月現在11か所の児童相談所を設置しており、各所の横のつながりがあります。児童相談所間の異動を経験することにより、さらなる研鑽を積むことができます。
  • 人材育成が充実しており、OJT、研修、自己啓発を3本の柱としています。
    OJTでは新任職員にはチューターがつくほか、児童福祉司・心理司のOB・OGが「業務指導員」としてバックアップしています。研修では、経験年数や役職ごとに充実したプログラムを提供しています。座学だけでなく、児童相談所職員専用のトレーニングセンターで、ロールプレイ形式で面接スキルトレーニング研修なども実施しています。

職員が働きやすいように工夫していることは何ですか?

子供や保護者への対応は、職員個人ではなく、チームで対応しています。受け付けた相談の情報を共有し、どのような援助が望ましいかチーム全員で検討していきます。また、ライフワークバランスの推進に努めるとともに、児童相談所職員向けの住宅を準備するなど、働きやすい環境づくりを進めています。

どんな人が児童相談所の業務に向いていると思いますか?求める人材像は?

  • 子供たちの笑顔を守りたいと願い、子供や保護者の方と真摯に向き合ってくださる方
  • 当事者理解や人間理解(共感力など)、失敗を素直に受け止めて失敗から学ぶ姿勢、チームワーク力などを持った方

これから、この分野のお仕事を目指す人へメッセージを。

児童虐待防止推進キャラクター「OSEKKAIくん」

児童相談所の仕事に興味があっても、「自分には勤まらないのではないか」と不安に感じる声も伺います。しかし、東京都児童相談所は、入職してからも学び、育つことができる現場ですし、職員が個人で対応するのではなく、常にチームで連携して対応しているので、「困った時はSOSを出せばよい」、そう思ってぜひチャレンジしていただきたいと思っています。

子供の人生を左右する責任のある仕事であり大変なこともありますが、子供の笑顔を守るため、児童相談所にしかできない役割があり、本当にやりがいのある仕事です。東京都は、子供たちの未来のために一緒に働く仲間を待っています!

もっと児童相談所の仕事について知りたいと思ったら……

東京都児童相談所お仕事紹介サイト(外部リンク)

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