ドキュメント5 塚本さん(障害部門)第10回 働く職場づくり編「利用者と職員と職場をつなぐ『橋』

「ドキュメント ワタシのシゴト×TOKYOでフクシ」へようこそ。

今回紹介するドキュメントでは、東京都三鷹市の障害者支援施設で働く、生活支援スタッフの塚本さんにクローズアップ。
第10回 働く職場づくり編では、「働きやすい職場づくりに対する職員の想い」について、塚本さんの生の声をご紹介します。

緑の宣言マークを持つ塚本さんの写真

社会福祉法人にじの会

大沢にじの里(入所)

生活支援スタッフ 塚本さん

行動の手前にある、その人の「想い」

私の職場では、利用者の方の気持ちを理解するために「利用者の方がなぜその行動をするのか」を職員同士で考え、仮説立てをするようにしています。

例えば知的障害のある方の中には、言葉より先に手が出てしまう方もいます。
それを「この人は攻撃的だ」と捉えるのではなく、手が出てしまうことも「その方にとっての重要な表現方法だ」と捉え、「なぜその行動をとったのか」を職員みんなで考えます。
そして、「どんな気持ちを感じていたのか」「その方の気持ちを表す別の表現方法があるのではないか」と考えるようにしています。

そういった利用者の方の理解を深めるには、職員同士のコミュニケーションが不可欠です。
そのため、連絡ノートや会議の場を活かした職員間での情報共有はとても大切にしています。

ご利用者様とコミュニケーションをとる塚本さんの写真

情報共有は「連絡ノート」から

私一人で支援するのではなく、職員がチームとなって利用者の方を支援しています。
そのため、利用者の方の表現や思いを受け止める姿勢を、職員全員が持っていなければいけません。そこで活用しているのが「連絡ノート」です。
利用者の方のことで気が付いた点や、様々な情報共有などがあるときは、連絡ノートに記録し、勤務開始の前に職員が必ず読むことになっています。
シフト制のため、会議で全員が同時に揃うことはなかなか難しいのですが、みんなが必ず目を通す連絡ノートがあることで、些細なことも共有しやすいと感じています。

インタビューを受ける塚本さんの写真

私が「橋渡し」になりたい理由

職員間の情報共有はとても重要です。
そうはいっても、1対1での関わりの中で出てくる利用者の方の行動は、支援する職員ごとに異なります。自分だけにされる行動は、「もしかしたら嫌われているのかも」と不安に感じたり、職員同士であっても話すのが難しいと感じることもあります。
ですが、そのままでは利用者の方をチームで支援できず、支援の視野も狭まってしまいます。

また、特に職歴の浅い職員は、悩みを抱えていてもなかなか共有しにくいこともあると思います。
そのため、「自分だけなのか」と一人で悩まないように、私の方から「こんなことがあった」と積極的に話したり、どの人でも気軽に話せるように雑談をしたりすることを意識しています。
何気ない雑談でも、解決の大きなきっかけになることもあると思っているからです。

先輩後輩関係なく、良い支援をしている方はたくさんいます。利用者の方のより良い支援のために、9年目の私が職員間のコミュニケーションの「橋渡し」ができればと思っています。

塚本さんの手のひらの写真

現場と制度をつなぐ人事制度プロジェクト

にじの会には、現場の声を法人の制度や仕組みづくりにも生かしていこうと始まった、「人事制度プロジェクト」があります。主に採用活動や人材育成・定着に焦点をあて、働きやすい職場環境整備を行っていくというものです。私も参画しており、関わり始めてから7年程が経ちました。

就職説明会に参加して、仕事の魅力や、求職者に昇給のことや階級のことなどを説明することを通して、制度についてもしっかり理解することができました。説明会に来る人が、私を見て入職するかもしれないと思うと緊張しますが、そんな人がいてくれたら良いなと思っています。

また、人材採用以外にも、産休育休・介護休業などの様々な働き方による職員懇談会、階層別による新人職員同士やリーダー(中堅層)職など、職級ごとの悩みなどを共有する職員懇談会をつくりました。それぞれのライフステージやキャリアだからこそ感じる悩みなどを共有できる機会のため、職員からは「私のときにも開催してほしかった」と話が出るほどにもなりました。

また、このプロジェクトに関わって、法人内にこんな制度があるのかと知る機会も多くありました。得た知識を活かして、困っている職員を見つけた時に「こんな制度があるよ」と紹介できたこともありました。管理職に相談するのはハードルが高いと感じても、私にだったら気軽に相談できるという職員もいると思います。
そんなこともあり、人事制度プロジェクトが職員が長く働けるモチベーション向上に繋がっていることに気が付く瞬間があり、プロジェクトに長く参加していて良かったなと感じています。

今後も、今いる職員にとってもっと働きやすい環境になっていけるよう、プロジェクトメンバーとしても頑張っていきたいです。

前を見つめる塚本さんの写真

今回のドキュメントはいかがでしたか?
次回、第11回・第12回は、塚本さんが働く施設で統括主任を務める新津さんのドキュメント。
管理職として現場職員を支える熱い想いを深堀りします。お楽しみに!

今回紹介した法人・事業所

社会福祉法人にじの会
大沢にじの里(入所)

「にじの会」についてもっと知りたい方はこちら

法人WEBサイト
https://www.nijinokai.org/index.html(外部リンク)

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社会福祉法人にじの会 大沢にじの里