ドキュメント6 新津さん(障害部門)第12回 働く職場づくり編 「職員の『声』が、職場をつくる」

「ドキュメント ワタシのシゴト×TOKYOでフクシ」へようこそ。

今回紹介するドキュメントでは、東京都三鷹市の障害者支援施設で統括主任を務める新津さんにクローズアップ。
第12回 働く職場づくり編では、「TOKYO働きやすい福祉の職場宣言」の活用方法など、職場づくりの取組について、新津さんの生の声をご紹介します。

緑の宣言マークを持つ新津さんの写真

社会福祉法人にじの会

大沢にじの里(入所)

統括主任(施設長) 新津さん

胸を張って「働きやすい!」と言えるように

前半でお話ししてきたように、私は、にじの会で働くどの職員にも「ここは働きやすい職場だ」と実感してほしいと思って、働きやすい職場づくりに取り組んできました。

しかしその取組が職員たちに浸透しているのか、疑問を感じることがありました。職員にもっと制度を活用してもらうため、これらの取組を法人内で可視化させることが重要だと感じていた矢先に、「TOKYO働きやすい福祉の職場宣言」事業が始まったことを知りました。働きやすい職場づくりに取り組んでいることを法人内部に知らせ、今いる職員が自分の施設、自分の仕事に誇りを持ってほしいと思い、すぐに応募を決めました。
2019年に宣言を取得して以降、全ての事業所内の、職員がよく目に入るところに「宣言通知書」を掲示しました。その周りには、職場づくりに関する、法人内の制度や取組を紹介するチラシをたくさん掲示しています。

TOKYO 働きやすい福祉の職場宣言通知書の写真

宣言が、働きやすい職場の“根拠”になる

インナーブランディングとして始めた「職場宣言」でしたが、採用活動での求職者へのアピールとしても活用しています。

採用イベントなどでは、にじの会を初めて知る求職者に、「宣言」をキーワードにして働きやすい職場の取組を行っていることを説明しています。
宣言通知書の説明をしたり、宣言のロゴマークを法人案内や名刺にも入れたりして、「宣言」に取り組んでいることが目に入るように工夫して伝えるようにしています。
その結果、「宣言」に取り組む以前と比較して、求職者の応募人数が倍以上に増加しました。

ただ働きやすいことを説明するだけよりも、宣言マークや通知書を提示することで「この法人は働きやすい取組をしているんだ」とか「職員の働く環境を大事にしているんだ」と、求職者に理解してもらいやすくなったと感じています。
この「宣言」が、働きやすい職場の「エビデンス」になってくれていると思います。

新津さんの名刺の写真

職場づくりの主役は「職員」

職場づくりに組織全体で取り組んでいきたい。
そんな思いで、「宣言」を取得するよりも少し早いタイミングで「人事制度プロジェクト」を発足しました。

「人材育成・定着」を中心に、働きやすい職場づくりを推し進めるこのプロジェクトには、事業所も職級も異なる約10名のプロジェクトメンバーが集まっています。施設入所支援事業や生活介護事業、就労支援など、それぞれの事業に従事する様々な職種の職員たちの声を取り入れるためです。本記事の第9・10回に登場する塚本職員も、人事制度プロジェクト発足当初からのメンバーでもあり、欠かせない存在です。

プロジェクトではより良い職場環境をつくるために、年代、職種が異なるそれぞれの立場を活かして意見を出し合います。現場職員が人事制度プロジェクトに関わることで、管理職によるトップダウン的な制度改革ではなく、幅広い視点を取り入れた職場づくりを行えると考えています。

ミーティングをする新津さん写真

職員の「声」が職場をつくる

人事制度プロジェクトでは、職員が働きやすいと実感できる職場づくりのため、「職員の声を集める」ことも、活動の大事な要素です。
その一つの取組として、「自己申告制度での提案」があります。その1例を紹介します。

事業拡大によって職員数が増えてきたのですが、それに伴い自転車で通勤する職員が増えて、自転車置き場が込み合ってしまうという問題が出てきていました。特に、雨の日も自転車を利用する職員も多く、屋根がないため濡れてしまうという声はこれまでにも上がっていました。
そこで「自己申告制度」を活用した職員たちからの「提案」をまとめたところ、この駐輪場の問題を改善してほしいという内容が複数あることがわかりました。
そういった職員の声を受けて各施設でもニーズ把握を行い、その結果、全ての施設の自転車置き場に屋根とレインコートを干せるスペースを設置するに至りました。

これは、職員の声から出発して、実際に事業所が変わったあくまで1例です。
職員から挙がった声が実際に職場改善という「形」になっていくのを実感できることは、職場づくりに主体的に関わっていくモチベーションにもつながっていくと信じています。

このほかにも、それぞれのキャリアやライフステージの中で感じる課題や悩みを共有できるような懇親会を開いたり(詳細は第10回・塚本職員の記事をご覧ください)、複数のサービスを展開しているにじの会の強みを活かして、自分の現在の職場を超えて他の職種を試すことができる「ジョブトライアル制度」という制度もスタートしました。

職場の環境改善のために意見したり、ライフステージや職級での悩みを共有できたり、今後のキャリアイメージを当事者と上司とが一緒に見据えたり。にじの会で長く働けるように、これからも仕組みをどんどん整えていきたいと思っています。

大沢にじの里外観の正面写真

全12回、6人のドキュメントをご紹介しました。いかがでしたか。
東京には、福祉の仕事に誇りを持ち、いきいきと働く職員がたくさんいます。
そして、そんな職員たちが輝けるように「働きやすい職場づくり」を推し進める法人・事業所も多くあります。
それぞれの法人ならではのスタイルで、職場づくりに取り組む「リアル」が見えたのではないでしょうか。

さて、次のドキュメントで紹介するのは、どんな法人・事業所でしょうか?
お楽しみに!

今回紹介した法人・事業所

社会福祉法人にじの会
大沢にじの里(入所)

「にじの会」についてもっと知りたい方はこちら

法人WEBサイト
https://www.nijinokai.org/index.html(外部リンク)

TOKYO 働きやすい福祉の職場宣言情報をチェック!

ふくむすび(東京都福祉人材情報バンクシステム)
社会福祉法人にじの会 大沢にじの里

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