はじめの一歩はカウンセリングから。「かいチャレ」体験記
東京都が実施している「かいごチャレンジ職場体験事業(以下、かいチャレ)」は、職業体験を通じて介護の仕事への理解を深めてもらうことを目的とした取り組みです。介護業界で働いたことのない幅広い世代の方々に、介護の現場に触れ、関心を持っていただくための機会として提供されています。(かいチャレの詳細はこちら(外部リンク))
介護の仕事に関心はあるものの、「何から始めれば良いのかわからない」「初めてで不安」という思いがありましたが、今回この「かいチャレ」を体験するにあたり、事前にカウンセリングを受けることになりました。
カウンセリングで自分に合った体験先を相談

初めての分野ということもあり、「自分にできることはあるのか」「どんな職場があるのか」など、正直わからないことばかりでしたが、担当のカウンセラーさんが丁寧に話を聞いてくださり、少しずつ不安が和らいでいきました。カウンセリングでは、自宅からの距離や交通手段、希望する勤務時間帯など、生活とのバランスも考慮しながら、どんな現場が合いそうか一緒に考えていきました。
さらに、「どんな人と関わりたいか」「人と話すことが好きかどうか」といったことも話題に。自分では気づかなかった関心や得意なことにも気づける時間となりました。
その中で、「日中に活動があり、利用者の方と直接関わる機会が多いデイサービスはどうですか?」と提案いただき、今回の体験が決まりました。
よく聞く「デイサービス」、でも実際はよく知らなかった
デイサービスという言葉は以前から耳にしていましたが、実際にどのような支援が行われているのか、現場の雰囲気はどんなものか、詳しいことは正直言うと知りませんでした。今回の体験を通して、自分の目で見て感じて、介護の仕事のイメージを少しでも具体的にできればという思いになりました。



はじめての介護体験 ― 東十条でデイサービスにふれる一日

初めての介護職場体験で、東十条にある「生活リハビリ」を中心に支援を行っている事業所「デイサービスヨウコー十条」を紹介いただき訪問しました。動きやすい服装で、水筒などを持参しての参加です。「デイサービスヨウコー十条」は東十条駅から徒歩数分とアクセスがよく、迷わず辿り着くことができました。
こちらではご利用者様の日々の着替えや入浴など、日常の動作や生活のサポートを通して、自立を促す取り組みが行われているそうです。この施設では、今回のような職場体験の受入れを過去に何度も行っており、介護の現場を知る第一歩としてとてもよい環境だというのが第一印象でした。
職員の方のサポートのもと、関心のあることから体験

体験スタート時には、職員の方が「どんなことに関心がありますか?」と丁寧に声をかけてくれました。
「コミュニケーションの取り方を学びたい」「リハビリの様子を見てみたい」「職員の方がご利用者様にどう関わっているのか知りたい」など、それぞれの関心に合わせて、当日の施設のスケジュールと照らし合わせて体験内容を検討してくださるそうです。
そして、「自分のおじいちゃんやおばあちゃんに接するような気持ちで関わってみてくださいね」と声をかけていただき、心が少しほぐれました。
ご利用者様へ自己紹介、そして一緒に過ごす時間へ

まずはご利用者様に向け、「今日一日よろしくお願いします」と自己紹介。その後は、午前中はリハビリ体操、そして昼食の配膳やお茶出し・お茶下げといった日常のケアを体験しました。職員の方からは、配膳時のマナーや接遇の基本、ご利用者様一人ひとりの様子に合わせた声のかけ方についても丁寧に教えていただき、介護の仕事がただ“お世話”をするだけではなく、相手を思いやる心配りの積み重ねであることを実感しました。



体操やレクリエーションにも一緒に参加

午後には、ご利用者様と一緒に体操に参加しました。
このデイサービスヨウコー十条では、日々の体操に力を入れているそうで、職員の方が中心となって、皆さんに声をかけながら進めていきます。腕を上げたり、足を動かしたりといったゆったりとした動きに加え、柔らかいボールを使って、手先を使った運動や簡単なリハビリも行われていました。
私も並んで一緒に体を動かしましたが、「無理のない範囲で」「できることを楽しんでやる」という空気が流れていてご利用者様も楽しそうに参加されているのが印象的でした。
体験を終えて
今回、介護の現場に初めてふれてみて、1回の体験だけでは見えてこないことも多いと感じました。
初日はどうしても受け身になってしまい、「これでよかったのかな」と迷う場面もありましたが、終わってみると「次はもっと自分から動けるかもしれない」という前向きな気持ちが湧いてきました。
かいごチャレンジでは、1回4時間から参加でき、1つの事業所で最大5日間まで体験することができます。何度か足を運ぶことで、職員の方との関係性やご利用者様との距離も少しずつ縮まり、より深く現場のことを知ることができるのではないかと思います。
「気になる」「やってみたい」と思ったら、1回だけで終わらせず、ぜひ複数回の体験をおすすめしたいと感じました。
介護の仕事は、技術だけでなく、相手の気持ちに寄り添う姿勢がとても大切なのだと学びました。
今回の体験は、自分自身の関心や適性について考えるきっかけにもなり、とても貴重な時間になったと思います。