【一時保護所職員(福祉職)】まつもとさん

一時保護所は、安心し、安定して過ごせる場所であってほしい

業務中のまつもとさんの写真
まつもとさんの正面写真

まつもとさん

一時保護所職員(福祉職)

東京都児童相談所(2年目)

「この仕事はとても重要」と、にこやかでありながら責任感あふれる表情で一時保護所の業務について話してくれるまつもとさんは、東京都の児童相談所に勤務して2年目。前職での経験や知見も活かして、保護が必要な児童の生活を支援する職員として、日々児童とともに自身の成長も感じています。休日は体を動かすためにピラティスに通ったり、好きな動物に会いにドライブするなど、ライフワークバランスにメリハリを持たせてうまくリフレッシュしています。

(取材:2024年11月)

現在の仕事を知ったきっかけや、目指した理由を教えてください。

教育学部で学んだ後、犯罪や非行等を行った子供達の改善や更生を目的にした矯正施設で働いていました。もともと児童福祉に関心があり、教育に携わりたいという気持ちを持っていましたが、教師の立場ではなく学校以外の場所で子供のサポートができる仕事を探していました。矯正施設では、子供達の多くが虐待を受けた経験を持ち、児童福祉の支援が必要な道をたどってきたということを強く実感し、私にできることがあるのではと思い、今の仕事を目指しました。

現在の仕事、業務の内容を教えてください。具体的にどのようなことをしていますか。

学習支援やイベント担当も務めます

虐待などによって家庭での生活が難しい子供の安全を守るため、一時的に保護が必要と判断された子供の生活や学習全般の支援、行動観察(注)を行うのが主な仕事です。入所のタイミングから退所まで一貫した支援を行います。基本的な衣食住を整え、心身のケアを行い、様々な場面に応じた支援を行いつつ、子供の行動観察を行い、児童福祉司等へ情報共有します。
(注)行動観察:子供の基本的な生活習慣、日常生活の状況、入所後の変化等の様子を、生活支援や面接の場面を通じて情報収集することです。行動観察に基づく見立ては、子供のその後の援助の内容、方針を定めるための重要な要素となります。

児童福祉司への情報共有など、他の職種との連携について教えてください。

一時保護所の勤務はシフト制ですので、朝夕の全体引継ぎや、日々のちょっとした機会に学習職員や看護師、保護所の心理担当職員、児童福祉司等へ情報共有しています。例えば、受験生の子供や、学習に課題がある子供については、学習職員との密な情報共有や連携した学習支援が必要になります。また、特性の強い子供や不穏な子供の対応時は、心理担当職員に相談し、役割を分けながら支援に当たりますし、保護所で変わった動静があった際には、児童福祉司や児童心理司へ電話などでの連絡を行います。全職員が広い視野を持って多職種の役割や立ち位置について理解をし、チームワークを持って業務に当たることが大切だと感じています。

現在の業務の中で、辛いことはありますか?乗り越える方法も教えてください。

「児童を見守ることが大切」とまつもとさん
一時保護所で保護する子供が増えていることから保護所が定員超過となっており、現場は余裕のない状況ですが、上司や仲間とのチームワークでトラブルを乗り切っています。また、子供が表す様々なサインを見逃さず、チームで共有することでトラブルを未然に防ぎ支援のきっかけにできるように心がけています。

今までで、心に残っている出来事はありますか?

自閉症やADHD等の特性を併せ持った女子児童の対応に難航し、チームとしてどんな対応をすべきか、担当班の職員で何度も話し合いと方向性の確認を重ね、支援に当たったケースが印象的です。職員として、子供から辛い言葉や態度を向けられることもあり、職員間の役割分担や、児童福祉司との連携を行いつつ支援に当たることが重要であると再認識しました。

一時保護中の児童にとって、大切な環境作りとはどのようなものだと思われますか?

保護所の中で、一番の相談相手でありたいと思います

まず大切にしたいのは基本的な衣食住を整えることだと思います。きちんとした衣類、温かい食事、安心して寝られる場所がある、という当たり前のことを整えて、生活が安定している上で遠慮せずに職員とのコミュニケーションができる環境を作りたいと思っています。また、子供達は、それぞれに抱えている課題や背景、性格、年齢も様々です。そのような中で一人ひとりにゆっくり向きあう時間を取ることが難しい時もありますが、まめに声を掛けたり、個別に関わる時間を確保することも重要だと感じています。

現在の仕事の中で、感じるやりがいは?

一時保護所での業務をしていると、日々変わっていく子供の様子に出会い、毎日、同じ日は一日もありません。日々違う課題に向き合い、自分自身も児童も成長し変化していくことを実感できる点に非常にやりがいを感じます。

これから、この分野のお仕事を目指す人へメッセージを。

児童支援に当たる中では、子供の一挙一動に活力をもらう日もあれば、問題行動に頭を悩ませる日もあります。また、チームでの人間関係に疲れてしまう日もあれば、その温かさに支えられる日もあります。しかし、様々な出来事の中で、全ての職員が常に人間として成長している、魅力的な職場だと思います。ぜひ、前向きな気持ちで志していただけたらと思います。

休日は猫カフェや動物園など、動物に会える場所でリラックスします
担当する児童は皆かわいいと話すまつもとさん

まつもとさんが勤務する東京都児童相談所の紹介ページはこちら

もっと児童相談所の仕事について知りたいと思ったら……

東京都児童相談所お仕事紹介サイト(外部リンク)

このページの情報は役に立ちましたか?
このページは見つけやすかったですか?

よりよいコンテンツ作成のための参考とさせていただきます