【児童心理司】いとうさん

年齢を重ねて、その時々の自身の良さや強みを活かせる児童心理司でありたい

インタビュー中のいとうさんの写真
いとうさんの正面写真

いとうさん

児童心理司

品川児童相談所(3年目)

心理学科で学び、公認心理師を目指して大学院に進んだいとうさんは、学生時代のインターンシップで少年院や鑑別所を訪問し、子供の非行の背景を探る中で、根本には家庭環境の問題があるのではないかと強く感じました。児童心理司は、子供だけでなく子供を取り巻く環境にもアプローチし支援を行うということに、仕事としての興味深さを覚えたと言います。児童心理司として勤務3年目、明るい笑顔で語るいとうさんにも、子供やその家族との関わりに難しさを感じることがありますが、支え合える同期とのおしゃべりや、美味しいコーヒーを淹れて一息つく時間を大切にして、再び仕事に向き合う英気を養っています。

(取材:2024年12月)

子供や保護者等に対し、心理的支援を行う専門職

児童心理司としての仕事内容を教えてください。

児童心理司は、心理学的な視点から子供に関わる専門職です。虐待・しつけ・障害・非行等の相談を受け、子供や保護者との面接を行うことが現在の主な業務内容です。子供の知的発達や特徴を把握するために、心理検査を実施し、その結果を保護者の方に説明することもあります。障害がある方が様々な福祉サービスを受けるための療育手帳の判定業務も大切な業務の一つです。

児童心理司という仕事を知ったきっかけや、目指した理由を教えてください。

大学に進学するにあたって、最初は助産師などの医療系も検討しましたが、理系が苦手だったので、文系で人に関われる分野が良いと思い心理学科に進みました。元々子供と接することが好きだったので、心理学を生かして子供に関わる仕事をしたい、と考えるようになり、少年院や鑑別所のインターンシップや大学院の実習を通して、子供個人だけでなく家庭という単位で考え支援したいという気持ちが芽生えていきました。

児童相談所での勤務を希望した理由を教えてください。

自ら助けを求めることができない人たちに対して支援を行えるのは行政機関であると思い、児童相談所を目指しました。また、子供本人だけでなく家族や周囲の環境、その他子供をめぐる関係機関と幅広く連携を取りながら支援を行うことができるというところにも、必要性と魅力を感じました。

面談相手の年齢や性格の様子を見て、雑談から始めるなど面談方法を工夫しています

仕事の中で、大切にしていること、力を入れていることは何ですか?

「理解しようとし続けること」です。子供と時間をかけて何度も話をして、時には雑談を交えたり遊んだりしながら関係を築いた上で、やっと見えてくることがあり、理解も深まります。保護者や関係機関に対しても同様で、自分が関わっている人たちを「知ろうとする姿勢」を持ち続けていきたいと思っています。児童相談所は、時には相手のニーズがなくても子供や保護者と関わることがあります。このため、面談の際には言葉遣いや言い回しを工夫したり、資料を用意するなど、一人ひとりに合わせた対応を心がけています。

今までで心に残っている出来事などはありますか?

大きな出来事ではないですが、子供達が笑顔を見せてくれるようになったり、私の名前を呼んでくれるようになったり、「これ話したかったんだ!」「これ見せたかったんだ!」などと言ってくれるようになった時に少しずつ関係ができてきたかなと実感してやりがいと喜びを覚えます。このような小さなやりがいと喜びの積み重ねがこの仕事の醍醐味の一つだと思っています。

3年間の勤務で、担当する業務の幅も広がってきました

仕事を通じて自身の成長を感じることはありますか?

やはり、私たちの関わりに対して拒否反応を示す方達から厳しい言葉をかけられることもあります。言葉だけでなく表情や態度も含め、否定的な気持ちを表現されるととても辛いと感じることもありました。こちらに勤務して3年目の現在は、そういった時にも自分の気持ちとの距離を取れるようになっていい意味で受け流すスキルも身についてきました。児童心理司としての仕事の中で、経験年数や年齢を重ねることによって知識の蓄積や技能の向上はもちろん、今とは違う柔らかさや深みが出てくると思います。今後も自己研鑽だけでなく、年齢に応じてその時々の自分の良さや持ち味を把握し強みにできる児童心理司でありたいと思います。

これから、この分野のお仕事を目指す人へメッセージを。

児童相談所の仕事は、世間的なイメージも様々で、実情が見えにくい仕事なのかと思います。実際に自分が働いてみて感じたことは、どの職員も一生懸命に一つひとつの家庭に向き合い、助け合いながら働いているということ。働いている人の話を聞くことで児童相談所の印象が変わることもあると思うので、是非ネットや資料以外での実際の児童相談所にも触れて、選択をしていただけたらと思います。

公認心理師の国家資格を持ついとうさん
子供だけでなく家庭という単位で支援を

いとうさんが勤務する東京都児童相談所の紹介ページはこちら

もっと児童相談所の仕事について知りたいと思ったら……

東京都児童相談所お仕事紹介サイト(外部リンク)

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