障害者福祉とのかかわり方|第3回:障害者支援の仕事内容

目次

  1. 前回のおさらい
  2. 障害者支援の仕事内容と必要な資格・研修て
  3. 仕事内容と1日の流れ
  4. 次回予告
  5. おすすめ!ふくむすびコンテンツ

1.前回のおさらい

階段の写真

このコラムでは『障害者福祉』をテーマに、第1回「身近な福祉」や第2回「障害の種類やサービス内容」について紹介しました。

ひと言で「障害」と言っても様々で、障害者一人ひとりの特性により必要な配慮は異なり、とくに2020年以降はコロナ禍で今までとは違う視点での配慮が必要になることもあります。

そこで、まずはすこしでも理解を深めていただけるよう、第2回コラムでは下記の4点を踏まえ、「障害の種類やサービス内容」を紹介しました。

  • 障害の種類には主に「身体障害」「知的障害」「精神障害(発達障害を含む)」「難病患者」の4つに分類される。
  • 「身体障害と知的障害」、「知的障害と精神障害」というように障害が重複する方や、外見からわからなくても援助や配慮を必要としている方々がいる。
  • 障害者を支援するサービスは、障害の状態や程度にかかわらず日常生活や社会生活を快適に送るために不可欠であり、一人ひとりの意思を尊重し自己実現するための基盤となる。
  • 様々な法律が整備された背景には、障害者ご本人やそのご家族、関係団体が行政に対し様々な要望を行い当事者の意見を反映させ、福祉の充実を図ってきた経緯がある。
障害者福祉とのかかわり方|第2回:障害の種類とサービス内容
前回コラムはこちらからご覧いただけます。

さて今回は、障害者を支援する側に焦点をあてて、仕事内容の理解を深められるよう、障害者支援の仕事内容や職種、必要な資格・研修について紹介します。

2.障害者支援の仕事内容と必要な資格・研修

階段とSTART文字の写真

障害者の方がどのような生活を送りたいかは一人ひとり異なり、個人が望むライフスタイルにより、必要な支援や受けようとする障害福祉サービスが異なります。

閃いているの写真

「働くための支援や訓練を受けたい」
「住み慣れた自宅で支援を受けながら暮らしたい!」
「医療的ケアが受けられる施設で安心して暮らしたいな…」
「自立して日常生活を送るのに必要な訓練を受けたい」

よって、障害者を支える福祉サービスも様々な種類があり、仕事内容も多岐に渡っています。仕事により専門の資格が必要な職種もありますが、なかには未経験でも働ける職種や、資格が必須でない職種もあります。

では、具体的にどんな仕事内容や職種、また必要な資格・研修があるのか紹介します。

サービスごとの仕事内容と職種、必要な資格・研修

障害者支援の仕事は様々あり、具体的な職種には、生活支援員相談支援専門員居宅介護従事者(ヘルパー)移動支援従業者(ガイドヘルパー)をはじめ、20種類以上あります(詳しく知りたい方は、<障害者・児の福祉>で働くというページをご覧ください)。

表1:障害者を支える仕事と主な職種、必要な資格・研修

主な仕事内容活躍の場
(主な職場)
障害者を支える人
(主な職種)
必要な資格・研修
(◎:必須、○:あるとよい)
障害者の在宅での暮らしを支える仕事障害者の自宅を訪問し、食事・入浴・排せつの介助や生活全般に関わる相談・支援を行う。障害者の自宅、外出先居宅介護従業者(ヘルパー)◎下記いずれか必須
  • 介護福祉士
  • 実務者研修修了
  • 介護職員初任者研修修了
  • 居宅介護職員初任者研修修了
施設やグループホームで障害者の暮らしを支える仕事施設等で食事・入浴等の身体介助を行う。
グループホームにおいては、障害者の日常生活に必要な家事援助も行う。
障害者支援施設
グループホーム
生活支援員
世話人(グループホーム)
(注)資格要件なし
○社会福祉士
○社会福祉主事任用資格
○介護福祉士
○介護職員初任者研修修了
障害者の日中の活動を支援する仕事障害者の日中の活動(園芸・陶芸・木工・織物等の創作・生産活動、レクリエーション等)を支援する。生活介護事業所
地域活動支援センター
生活支援員(注)資格要件なし
○社会福祉士
○社会福祉主事任用資格
○介護福祉士
○介護職員初任者研修修了
障害者の自立生活に向けた訓練を支援する仕事障害者が自立した日常生活を送るために必要な訓練やリハビリテーション等を行う。自立訓練事業所生活支援員
看護職員
作業療法士(OT)
理学療法士(PT)
(注)生活支援員は資格要件なし
◎看護師
◎作業療法士(OT)
◎理学療法士(PT)
障害者の就労を支援する仕事就労を希望する障害者にパソコン、印刷、農園芸などの技術を習得するための訓練・指導を行う。
また、職業実習先の開拓、求職活動の支援、就職後の相談等を行う。
就労支援事業所職業指導員
就労支援員
(注)資格要件なし
障害者の社会参加を支援する仕事外出の際に必要な身体介護やコミュニケーションの支援、余暇活動の付き添いなど幅広い支援を行う。障害者の外出先移動支援従業者(ガイドヘルパー)◎障害者(児)移動支援従業者養成研修修了
障害者のサービス利用に関する相談・調整を行う仕事障害者や家族の相談により、必要な情報提供や障害福祉サービスの利用にかかる支援を行います。相談支援事業所相談支援専門員◎相談支援従事者初任者研修修了(要実務経験)

「障害者を支える仕事」といっても、どのような場でどのように支えたいかによって仕事内容や必要な資格・研修が異なります。また、表1を見てお分かりいただけるように、働くために資格が必須ではない職種もあります働きながらスキルアップのために資格取得される方や、異業種から完全未経験で転職される方もいます

特に2020年以降、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、仕事のやりがいや将来性を考慮して、福祉業界へ転職を検討される方が増えています

就業を検討する上で、福祉現場の職場体験や就職相談・面接会などもありますので、ふくむすびの「研修・イベントに参加したい」をご活用ください(オンライン開催もあります)。

東京都では、都内の障害福祉サービス等事業所で、常勤の福祉・介護職員として働きながら、学校等に奨学金を返済している方に、勤務先の事業所を通じて奨学金返済相当額を支給する制度があります。
また、障害福祉サービス等を提供する事業所で働く職員が、介護福祉士国家資格の取得に要した経費について法人が支援した場合に、その支援の一部を助成金として交付する制度もありますので、気になる方はぜひ以下リンク先をご確認ください。

外部リンク:公益財団法人東京都福祉保健財団「障害福祉サービス事業所職員 奨学金返済・育成支援事業」(外部リンク)
外部リンク:公益財団法人東京都福祉保健財団「令和3年度 現任障害福祉サービス等 職員資格取得支援事業のご案内(外部リンク)

3.仕事内容と1日の流れ

カレンダーと時計の写真

ここまで、障害者支援の仕事内容や職種・資格等をお伝えしましたが、具体的にどんな業務を行っているのかイメージいただけるよう、この章では障害者支援事業所で働く職員の一日の流れを紹介します。

勤務形態

下の表2のように勤務形態は主に3つあり、事業所の運営や提供されるサービスに応じて異なります。日勤や夜勤などの変則勤務もあり、シフト勤務を行う事業所もあります。サービス提供者もライフスタイルに合わせて勤務形態を選ぶことが可能です

表2:勤務形態と内容

入所型((注))24時間、365日のサービス。障害者支援施設は、通所型の事業と一体で施設を運営しており、日勤主体で宿直がある場合と、夜勤も含めた変則勤務の場合がある。グループホームについても、障害者の住まいの場として、夜間も含めた交代勤務を行う。
通所型在宅の利用者が来所し、夕方帰宅するため、職員の勤務も主として日勤だが、長時間開所する事業所では早朝・夜間シフトがある場合もある。
訪問型
(外出支援)
居宅介護事業所のホームヘルパー(居宅介護従業者)が典型。支援が必要な時間に利用者の家庭を訪問し、在宅での支援または外出時の支援を行う。早朝・夜間のスポット勤務もある。

(注)入所利用型施設でも変則勤務ではない職種(栄養・調理や事務系職種)もあります。

おおまかな1日のスケジュール

ここでは入所型と通所型にわけて、生活支援員と就労支援員の1日の仕事の流れを紹介します。

生活支援員の勤務例(入所型)

食事、入浴、着替えなどの身体介助を中心に、職業訓練やレクリエーションなど日中活動の支援、相談対応なども行います。また、利用者一人ひとりに合うサービス提供のため、本人や家族から情報収集を行い、必要に応じて関係者とその情報を共有します。さらに、入退所者やボランティアスタッフ、実習生の受け入れのため、関係機関との調整なども行います。

資格要件は法令で定めがなく、資格不問の求人もありますが、介護福祉士社会福祉士社会福祉主事任用資格介護職員初任者研修修了者などを対象とした求人もあります。

日勤
8時30分出勤のイメージイラスト 出勤、ミーティング
9時00分朝礼のイメージイラスト 朝礼・報告、連絡事項の確認
9時30分陶芸のイメージイラスト 陶芸等の作業
10時30分散歩のイメージイラスト 散歩
10時55分作業のイメージイラスト 作業の再開
11時25分片づけのイメージイラスト 片づけ
11時35分昼食のイメージイラスト 配膳準備・昼食
12時30分休憩のイメージイラスト 休憩
13時30分リハビリのイメージイラスト リハビリ(散歩)
14時45分おやつのイメージイラスト おやつ配り
15時00分入浴介助のイメージイラスト 入浴介助
16時45分引き継ぎのイメージイラスト 夜勤者との引き継ぎ
17時00分退勤のイメージイラスト 退勤

参考文献:社会福祉法人東京都社会福祉協議会出版「福祉の仕事と就職活動ガイド ふくしのしごとがわかる本 2021年版」28ページ

夜勤
17時00分出勤のイメージイラスト 出勤
洗濯のイメージイラスト 洗濯
17時30分夕食のイメージイラスト 夕食・食事介助
19時00分夕食のイメージイラスト 片づけ
20時00分就寝のイメージイラスト 就寝の準備
21時50分記録のイメージイラスト 生活記録の記入
24時00分仮眠のイメージイラスト 休憩、仮眠(宿直)
6時00分起床のイメージイラスト 利用者の起床介助
7時30分朝食のイメージイラスト 朝食
8時30分運動のイメージイラスト 朝の運動
9時00分朝礼のイメージイラスト 朝礼
9時30分退勤のイメージイラスト 退勤

参考文献:社会福祉法人東京都社会福祉協議会出版「福祉の仕事と就職活動ガイド ふくしのしごとがわかる本 2021年版」28ページ

就労支援員の勤務例(通所型)

業務内容は主に以下の5つです。

(1)職業実習先の開拓やあっせん
(2)就労移行支援計画の内容確認と見直し
(3)ハローワークなど関係機関との連絡調整
(4)利用者の求職活動や職場定着の支援、相談対応
(5)職場定着のための職場訪問や家庭訪問

資格要件は特になく、障害者の就労支援の経験者が望ましいとされています。

8時45分出勤のイメージイラスト 出勤
9時00分朝礼のイメージイラスト 朝礼・報告、連絡事項の確認
9時30分清掃のイメージイラスト 公園清掃、工場内清掃
10時30分業務のイメージイラスト 面接練習、企業連絡、印刷業務
12時00分休憩のイメージイラスト 休憩
12時50分面接のイメージイラスト 企業面接、企業見学、定着支援、印刷業務
15時00分PCのイメージイラスト PCプログラム
16時00分電話のイメージイラスト 定着支援の面談、電話での支援
16時30分打合せのイメージイラスト 翌日打合せ
16時45分記録のイメージイラスト 記録、企業連絡
17時20分退勤のイメージイラスト 退勤

参考文献:社会福祉法人東京都社会福祉協議会出版「福祉の仕事と就職活動ガイド ふくしのしごとがわかる本 2021年版」31ページ

4.次回予告

今回は“障害者支援の仕事内容”をお送りしました。次回は、「障害者支援サービスを担う職員の声」をテーマに、実際に福祉現場で活躍する職員が感じるやりがいや就業のきっかけを、お届け予定です。

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